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映画 エル・トポ [映画]

ghmの須田さんがその影響を広言している上に
このデジタルリマスター版上映に際して
トークショーをするとかの熱の入れようであり
昨日始めたレッド・デッド・リデンプションと
ビジュアルイメージがシンクロし
ないはずの休みも急遽いただけて
夜遅くの上映はそろそろ終了?
とこれだけそろったら観賞決定

伝説のカルトムービーで
ガンアクションと宗教と人間の性がどうこうとか
そういうややこしい話?

エル・トポ

30分前くらいの時点で
「席はどこでもだいたい大丈夫です」
とか言われた割には最終的には半分ほど入りましたか

内容はもう
これぞカルトムービー

ただ
やりきったファイヤーマンという気もしないでもなく

いや
やりきるのが難しいという話です

物語の展開自体が理解できないほど難解ではなく
あのデビッド・リンチ的迷宮に比べれば
驚くほど単純な物語構造ではあるものの
ときおり挟み込まれる唐突な描写や
衝動的な登場人物たちの行動なんかと
でたらめに展開する主人公の人生が
全体として奇妙極まりない感触を与えてくるので
まぁもう何がなんだか

途中で寝ちゃってる人もいた様子
いわゆる物語の推進力というか
動機的な部分がポイントだけど説明しない
みたいな所がその原因かと

なにしてるかはわかっても
なんでしてるかはわかんない
みたいな感じじゃないかと

ということで
ノーモアヒーローズやレッド・デッド・リデンプションが
なんかザックリ感覚的な部分で好き
とか
須田シナリオが理解できなくても楽しめる
という人には絶対的にお勧め

いわゆるカルトムービーってどんなの?
と興味のある人にもいいんじゃないでしょうか

死体も裸もわらわら出てきますが
なんか牧歌的な雰囲気もあります

とかいって観てどん引きしても責任持てません

とりあえず
ネタバレ含みで書き連ねる詳細は以下
ネタバレといっても解釈しそこねてたりするのは
いつもと同じ

P1000172.jpg


エル・トポってのはモグラって意味なんだそうです

光を求めて穴を掘るモグラは
地上に出て太陽を見ると失明しちゃう
とかいきなり意味ありげな解説

場面は砂漠を馬で移動する黒ずくめのガンマンと
裸の子供が旅している場面から

なにこれ?

裸の子供にぬいぐるみと写真をわたしたガンマンは
「もう7歳で一人前だからおもちゃと母の写真はうめなさい」
とか言い出します

一人前認定早い
というか
一人前の人間に服を与えてあげてください

この男がエル・トポで
なんでモグラ
なんて名前の男が全裸の少年をつれて旅してるかとか
そんな説明はありません

その後も物語はその様相を激しく変化させます
それぞれに聖書っぽいタイトルめいたものがついていますが
正直意味がよくわかりません

最初はそれでも子連れ狼みたいなもので
神の命じるままだかなんだかで旅して
ひゃーはははとか笑うような見事な悪役を
バンバン撃ち殺して人々を救う
という時代劇めいた話で
ところどころ過剰だったりする描写はあるものの
それなりに普通の娯楽作品じゃ・・・
とか思ってたら

そこで救った女が子供を押し退けて同行者チェンジ

「父は死んだ!」と言い放ち
女と馬で走り去る主人公

残された子供は救った街の聖職者と一緒に立ち尽くすのみ

とか
異常展開で次のステージへ

女をお供にしたエル・トポは
またフラフラと旅して幸せそうでしたが
ずいぶん唐突に女が
最強の男が好きだから
砂漠にいるという4人の最強ガンマン全部倒して
とかゲームみたいな要求を出してきます

この女とエル・トポの関係性も無駄に象徴的で
主導権は激しく入れ替わるし
変な食料補給とか水源探査を巡るエピソードもあって
それはつまりなに?
とか思ってると
倒すべきターゲットとしての
おもしろ達人達が次々と出てきては
その極まりきった能力で
エル・トポに絶望を与えるわけです

とても勝てない・・・とか
実際に勝負して負けるとか
すっかり弱る彼ですが
女がまたまるで容赦なくて
どんな手を使ってでも倒せとそそのかします

それって最強とかとはほど遠い考えじゃ・・・
とつっこむ観客を放置して
次々と敗北感を味わってはズルして倒す
悲しすぎる展開

最後の達人に虫取り網で弾丸をはじきとばされるに至り
それでも命を寄越せと駄々をこねたら
なんと自殺されてしまいました

もう強いとか弱いとかなんだよ
という気分になってたら
二人目の居場所を教えるという話で現れた
謎の女ガンマンと三角関係になっていて
その女二人との三角関係の中心は
エル・トポじゃなくてヒロインで
全員倒したのに打ちひしがれる主人公はあっさり
全てを失います

強い奴を倒していくという物語は
少年マンガ的ではあるものの
そこでの工夫ははっきりと卑怯で
目的に対して妨害してくる障害物なら
何をしても勝てばいいのでしょうが
目的は最強の証明だからもう苦悩の物語ですよ

女に対する悪意でもあるんすかね

ってここまでで十分おなかいっぱいなんですが
物語はまだ中盤です

この後で主人公は昏睡状態のまま
洞窟生活のフリークスに連れて行かれ
何年かを御神体として過ごし
目覚めてからは妙な儀式を経て覚醒

遠い街の堕落を目にしつつ
そこへフリークスを解放するという夢を持つに至ります

どうやって?
トンネルを掘って!
おお
モグラっぽい

そこからはすっかり生まれ変わって
フリークス女性とのコンビで大道芸としてコントをする
芸人になった凄腕ガンマンが
黒人を奴隷として売買して命をやすやすと奪う
街の白人の横暴と
そこで流行する生死をかけたスリル感で生の実感を与える
というペラペラな宗教と
そこに現れる真の信仰を持つ青年とが絡まりあって
ドラマが生まれます

生まれ変わったエル・トポはフリークス女性と恋に落ち
結婚を誓おうと協会に行ったらそこにいた青年は
どうやら置き去りにした裸の子供
復讐を行おうとする今は服を着ている子供に
トンネルを掘り抜くまでは
と助命嘆願

監視としてついてきていた彼は
父の新しい嫁の腹も大きくなって
あまりに埒があかないので手伝い始め
最終的には一緒にコントをするレベルへ
いい話だなー

やがて開通するトンネル
しかし息子は父を殺せない
「師は殺せません」
そういって立ち去る息子

開通でわき返るフリークスは街へ殺到
しかしそこにいたのは
襲撃と思った街の住民による狙撃部隊

止めようと必死で走る主人公ですが
武器を持たない不具者たちは全滅

怒った主人公はそのまま立ち向かいます
躊躇なく住民達によって叩き込まれる弾丸
彼もなす術なく倒れ・・・ません
なんと
9発くらい体に食らったのに
相手の銃を奪うと
無双状態

飛んで走って銃を撃ちまくって全滅させると
アルコールランプ?のアルコールをかぶって
焼身自殺

そこに現れたフリークス妻と生まれたばかりの赤子
そして復讐を断念したエル・トポの息子

またどこかに旅します

もうなんかね

とにかく主人公の苦悩と復活はともかく
フリークス解放がそのままフリークス全滅につながる
とか
嫌がらせみたいな展開ながら
街に殺到した理由がよくわからないとか
よくわからないところがありすぎて
そういうポイントが多いと
そこに何かの意味を読みとるのが人間なんですね
ってなもんです

例えば
無邪気な正義感を振りかざしていた序盤は子供時代で
女とさまよう中盤は自分の価値を知りたくてもがく青年
終盤の穴掘りは自らの人生を意味あるものにするため
まっすぐにすすむ人生の晩年を描いて
とか

生命のやりとりがダイレクトに行われる序盤から
秩序を求めた上でそこに意味を見いだしルールが生まれ
やがて文化的なレベルに到達して初めて宗教的平和が
とか

なんかそれっぽい意味を探し出そうとすれば
いろいろでっちあげられそうですが
個人的にはもうただ
最初から最後まで男がもがいてるだけの印象で
そういえば映画のタイトルは「モグラ」ってことだから
印象が一番正しいんじゃないかなと
思ったりしました

いやもう
中盤のゲーム的マンガ的ボス戦描写とその苦悩と
終盤のコメディっぽい哀感と風刺的街描写とに
変な落差があって一本で三本分くらいのボリューム感
でも
そんなに長くないらしいです

変なもん観たという満足感は相当

観てよかったです

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